ウェルナー症候群

ウェルナー症候群(Werner Syndrome)は、遺伝性症候群に伴う無毛症であり、早老症のひとつです。

 

初めて臨床報告されたのは、1904年のことで、ドイツの内科医オットー・ウェルナー氏が、アルプス地方に居住している4人兄弟の症例となっています。

 

ウェルナー症候群の発症は成人期以降に多くなっており、幼年期から好発する早老症となるプロジェリア症候群と対比して、「成人性プロジェリア」とも称されます。

 

患者は毛髪以外にも、低身長、低体重、両側性白内障、皮膚の硬化・萎縮などの特徴があり、耐糖能低下、骨粗鬆症、性腺機能低下、尿中ヒアルロン酸量の増加も顕著になりますから、相当に重篤な病気です。

 

ウェルナー症候群は常染色体劣性遺伝病であり、実は日本人に多いとされているのですが、この原因遺伝子は正常遺伝子と比較すると、正しく並ぶ4つのDNAのただ一つのDNAの並ぶ順番が違っただけなのです。厳密には、ヒト8番染色体上にあるWRNという単一遺伝子の異常が原因です。

 

世界各地において約1200例の症例報告がありますが、その80%が日本人となっています。

 

治療ということに関しては、現在のところようやく原因が解明されつつあるというレベルであり、根本的な治療法はありません。合併症に対する対応、骨粗鬆症に対応するためのバリアフリー施設などが精一杯のようです。