ネザートン症候群

ネザートン症候群(Netherton Syndrome)は、ウェルナー症候群と同様に常染色体劣性遺伝の先天的疾患であり、毛髪奇形(捻転毛・連珠毛)の病気です。もともと正常な毛は断面が円柱の形をしており、それがでこぼこになったり、ねじれたり、割れたりなどの形状異常を示すのが毛髪奇形です。

 

ネザートン症候群では頭の毛が重積裂毛(ちょうせきれつもう)になります。重積裂毛とは、毛に竹の節のような結節ができて折れやすくなった状態のことで、竹状毛とも呼ばれ、短くまばらになります。

 

このように毛の形が異常になる点に関しては、先天的原因と後天的原因の両方があって、先天的原因は、毛をつくるのに必要な物質の遺伝子異常となり、後天的原因では、毛に対する機械的刺激が挙げられています。

 

捻転毛は、毛が扁平でねじれた形になり、毛がもろいので折れやすく短くなります。連珠毛では、毛が一定の間隔で周期的に細くなり、毛髪は玉をつなぎ並べたような形になります。

 

完全な無毛状態というわけではありませんが、毛髪は非常に細く、その意味では乏毛症ということもできるでしょう。

 

こうした毛の形の異常は、毛を顕微鏡で観察するとわかります。毛の形の異常と身体症状、遺伝形式などから診断していきます。

 

しかし残念ながら治療の方法という点では、先天的な異常に対する有効な治療法はありません。対策としては、毛がもろくなっているので、刺激で毛を折らないように注意こととなります。